2013/10/30

黄金町芸術学校建築コース_前期レポート




こんにちは!
今回は、黄金町芸術学校2013 専門講座 建築コース「アートのための活動場所」のご紹介です!
この講座は、建築とアート双方の視点から、
アートスペースの変遷やつくり方について学んでいくものです。
そして10月から始まる後半では、
実際に黄金町のスペースを使って「アートのための活動場所」を作り上げていきます!!

自己紹介が遅れましたが、建築コースインターンの田崎です。
よろしくお願いします!
実は去年の夏に行われた夏期集中講座「アートスペースはどのようにしてつくられるのか?」にもインターンとして参加させていただきました。過去のレポートはこちら→http://www.koganecho.net/contents/koganecho-bazaar/renovation-report.html 

さて、後半に入る前に今までの講義内容をレポートしたいと思います!
少し長かくなりますが、是非最後までお付き合いお願いします!
今までの講義でアートとそれに伴う空間の変遷について学びました。




















美術館ができる以前、芸術は建物に装飾的につけられるものでした。
壁画や彫刻とかですね。例えば、ノートルダム寺院とかですね。

ノートルダム寺院






















絵画が壁画から額縁に収まることで、移動可能な芸術が生まれます。
当時の美術館は額縁に収められた絵画が壁いっぱいに展示されています。
これは、権威の象徴という面と、額縁によって境界が生まれることで
絵画同士が近接していても鑑賞の妨げにはならないという考え方が理由とされています。


その後、近代美術に最適な展示空間としてホワイトキューブが生まれました。
ホワイトキューブを最初に世に送り出したのはMoMAです。
MoMA
















その名の通り真っ白な箱は、作品の邪魔をしないよう、
限りなくニュートラルな空間を目指して作られました。
ホワイトキューブに展示されるものは、
それが「作品」であることを保証するような効果をもっているように思います。

パリにあるポンピドゥー・センターは巨大な無柱空間と可動展示壁によって、
展示ごとに自由な空間をつくれることを目指して計画されました。
ポンピドゥー・センター

















しかし、制限がないことでのキュレーションの難しさや、
仮設展示壁が重量のあるものを支えられないなどの問題があり、
その後の改修では固定の展示壁がつけられました。


1970年頃からワークショップが各地で行われるようになりました。
その結果、基本的やホワイトキューブの性格を保持しながらも、
それを囲む環境は変化していきます。
例えばアーティストインレジデンスなんかが生まれるわけですね。

一方で、ホワイトキューブの変化球として、コンバージョンによる美術館も増えていきます。
元は駅舎や工場、銀行など様々な用途で使われてきた建物が、美術館に姿を変えます。
この時、その建物独自の機能が構造によって表に現れ、白い展示壁と共存することで、
その場所特有(場所性とか歴史性とか)のホワイトキューブができあがります。


今ではコンバージョンという考え方が広く世間に浸透し、
美術館だけでなく様々な機能を持って生まれ変わっていますね。
特に日本では今後その数を増やしていくでしょう。
個人的にはこのスタイルが好きで、横浜はそういった場所が多くて魅力的ですね!

1970年頃は「脱ホワイトキューブ」「脱美術館」の動きも出てきます。
サイトスペシフィック・アートといわれるやつですね。
サイトスペシフィックとは、その場所に帰属する作品や置かれる場所の特性を活かした作品、
あるいはその性質を指すものです。

このサイトスペシフィックな作品と美術館を共存させたものがあります。
それが奈義町立現代美術館、十和田市現代美術館、豊島美術館など、
ある唯一の作品を展示するためにつくられた美術館です。
建築家の磯崎新さんは第三世代の美術館と呼んでいます。
奈義町現代美術館
















個人的には、新築の美術館のコンセプトとして、
これ以上先はなかなか出てこないんじゃないかと思っています。


ここまでの話を聞いたら、もう美術館(ハード)はいらないんじゃないの?
という話になってきますよね?なりませんかね?笑
その流れで生まれたのが、近年各地で活動がみられる「アートプロジェクト」といわれるものです。黄金町もそれに位置するといえます。
瀬戸内や越後妻有などの大自然の中で行われるものから、
黄金町や別府などのまちの特徴を活かしたものまで様々なタイプがあります。
六本木アートナイトみたいなお祭り感満載のもなど、
場所はもちろん運営主体が違うことで、それぞれの色がでているように思います。

作品の制作課程から市民が参加したり、市民の参加なしには成り立たないもがあるなど、
アートプロジェクトは地域と密接に関わっています。
そこで大切になってくるのが、アートマネジメントといわれる領域なのでははいでしょうか。
送りて(アーティスト)と受けて(市民)とを繋げていく、
繫ぎて(アートマネジメント)の役割が大きくなってきます。
アートの種類が多様化してきていることで、それを囲む環境も変化してきています。
現代のアートにあった活動場所とはいったいどのようなものなのか。

前回最後の講義では、実際に黄金町バザールを見て回りました。
今まで学んできた知識があることで、
今までとは違った目線でバザールを見ることができたと思います。